志都美村史発刊にあたって

志都美村 村長 黒松喜洲 

志都美村史

 わが郷土志都美村はすぐれた自然の環境に恵まれ、古くから文化の開けた所であります。由緒ある古墳や古い神社・寺院などがあちらこちらにあります。また、中世の城跡も残されております。こうした遺跡や文化財はいずれも郷土の先人たちの築きあげた歴史的な遺産であります。
 戦後、いわゆる新しい文化が流入し、村の様相や村民の生活にも大きい影響を受けました。しかしそのいずれもがこの土地に定着するものではありません。我々は過去の大きい時や文化の流れの中に生活するものでありますから、この土地がらをほんとうによく理解し、真にふさわしいものだけを採りいれなければらしません。ここに歴史の教えてくれる大きい意義を見出すのであります。
 村の将来の発展は、全くこうした立場から考え直さねばなりません。正しい郷土の歴史を知り、千古普遍の大自然を愛する心が即ちほんとうに郷土を愛する心といえましょう。この郷土愛なくして村の発展を期待することは出来ないと思います。
 この意味において、この度、志都美村村史を刊行することになりました。執筆された先生方は村内を踏査し、いろいろ研究してくださいました。その結果かなりたくさんの資料を集めていただきましたが、本書はいわばその一部を要約せられたものにすぎません。紙面の関係で詳しく書いていただくことが出来なかったことは先生方に相済まない次第であります。
 志都美村もいよいよ発展的に解消し、町村合併することによって新しく発足しようとしています。この村史はささやかながら志都美村の金字塔として永く村民各位の座右を飾るものと信じます。本書刊行について村内外より寄せられた御好意とご鞭撻に対し衷心より御礼を申し上げます。

昭和31年3月      志都美村長 黒松喜洲